第2章で、環境ビジネスを、「需要創造型」と「リノベーション型」に分けたのを覚えていますか?
今までは、資源をそのまま投入すると、アウトプットしたものは捨てていたわけですが、これからの時代は、直線型で資源の消費をしていたものをリサイクルに持っていく──、つまり、「3R」、
① リデュース(Reduce =減らす)、
② リユース(Reuse =繰り返し使う)、
③ リサイクル(Recycle =再資源化する)
──の3つを進化させたリノベーション型ビジネスが成長していきます。
このパターンには、既におこなわれているビジネスがあり、上手くいっているものとそうでないものがありますが、そこで成功するためには、「つなぎ」「手間ひま」「ダブルポケット」が重要であると私は考えています。
「つなぎビジネス」で利益を出す
私の個人的な見解では、環境ビジネスを成功させるには「つなぎ」の発想が有効です。
例えば、ここ数年、自動車業界をけん引してきた『プリウス』『フィット』などのハイブリッド車は、ガソリンと電気の組み合わせで走行します。
それまで自動車各社は、次世代の自動車として電気自動車を研究してきましたが、商品化するには走行距離やスピード、バッテリー充電設備の不足などの課題が山積していました。そこで、トヨタやホンダは、そのつなぎの段階で、現実的な解決をしたわけです。
手間ひま
希少金属が使われてるパソコンや携帯電話はよく「都市鉱山」などと呼ばれますが、現在、日本にあるリサイクル可能な希少金属(金や銀など)は、全世界の現有埋蔵量の6分の1~5分の1もあることがわかっています。
ただでさえ資源輸入大国の日本なのですから、こうした希少金属を使わない手はありませんが、今まではかなりの部分が捨てられていたのです。
その理由はいくつかありますが、まず、パソコンや携帯電話には個人情報が詰まっていますから、ユーザーが気軽に処分できないこと。そのため壊れた機械をそのまま押し入れにいれている人がたくさんいます。
また、電機製品は有害物質が使われていることもあるので、リサイクルするにはそれらを分離する必要があります。
要するに、とても手間がかかる作業になるわけですが、そこから取り出した物質をリサイクルする事業で成功している会社もあります。廃棄物の回収や破壊、リユース・リサイクルという一連の工程を全て自社でおこなっているから、顧客も個人情報の漏洩を心配せずに任せられるわけです。
20世紀は効率性が中心でしたが、高齢社会になってくる21世紀は、手間ひまが付加価値になります。例えば、スーパーにしろ、コンビニにしろ、ファミリーレストランにせよ、次々と宅配サービスを始めています。
手間ひまを惜しまない──というのは、古いようでいて、新しいビジネスモデルでもあるのです。
ダブルポケット(お手玉理論)
もう1つは、環境ビジネスとダブルポケット、お手玉理論の組み合わせです。
お手玉というのは今の人は知らないかもしれませんが、小さな布袋に小豆などをゆるく詰めて、玉のように縫い合わせたもの。たくさんの玉を両手に持って、それを顔の上あたりに投げて遊ぶわけですね。
環境というのは、ダブルポケット、両手で稼ぐ商売です。
粗大ごみを仮に回収したら、その廃棄料をお客さんからもらいます。それを今度は、リサイクルして販売し、代金としてもう一回お金をもらうのです。
ですから、上手くはまれば環境ビジネスは、ものすごい収益になります。