「環境基本法」(一九九三年制定)というのがあります。覚えておいていただきたいのは、この基本法は憲法みたいなものであるということ。余談になりますが、「土地基本法」(一九八九年(平成元年))や古くは「農業基本法」(一九六一年)という各基本法ができたときに、世の中は必ず変わりました。たとえば、日本の農業が大きく変わったのは、「農業基本法」だと言われています。農業の近代化を促進しましたが、その後兼業農家が増え、農業離れが始まり、結果日本の食糧自給率が落ちたのもこの基本法によるのだという説があります。実際に土地基本法は、「適正な土地利用の確保を図りつつ、正常な需給関係と適正な地価の形成を図るための土地対策を総合的に推進」と書いています。要するに「土地は公共のもの」という基本法が生まれて、バブル崩壊の引き金になりました。制定が平成元年、ご存じのように平成二、三年ごろから土地の大幅な下落が始まり、日本の失われた一O年が始まりました。
つい最近できたのは、「改革基本法」(「中央省庁等改革基本法」ニOO二年)です。小泉純一郎内閣のときにできた法律ですが、民営化と地方分権をうたった内容でした。その結果として、郵政が民営化されました。日本の金融が大きく変わりましたね。また、中央官庁の効率化と地方分権化をうたっていますが、はたして、地方の分権というと聞こえはいいものの、とりようによっては、「勝手にやりなさい」と言うことです。今までは、国が税収を集めて総務省が地方交付金という形でみんなに配っていました。
固としては、財源がなくなってきたために、税源を移譲し、「勝手に地方で税金を取って、そのかわり固は面倒見ませんよ」という図にしたのでした。
その結果、どうなったのでしょうか?
大企業が多かったり、住民の数も多い東京都のような大都市のように税収が多いところはいいのですが、過疎化が進む地方では切り捨てられるところが出てくるのでしょうね。都市と地方、もっと格差は広がるでしょう。格差是正と言えば言うほど、「格差拡大」と裏読みが必要です。税制の簡素化、簡素化と言うほど、税制が複雑になるのと一緒です。
さて、このように基本法は、とても重要な法律で、「基本法」ができますと間違いなく世の中が変わります。
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