[執念]
――窮地で試されるもの
私が経営者の資質のピンにあげるのが「執念」です。
私が四〇歳ぐらいの頃、邱永漢先生から聞いた言葉です。
もう亡くなりましたが、「経営者はなにが大事かって『執念』だね」と聞いたことをなぜか、今でも鮮明に記憶しています。
私事で恐縮ですが、ここ三年間、経営ノートをまとめています。
その年々のテーマを決めて書いていますが、二〇一一年のテーマは、「経営者の執念」でした。丁度、リーマンショックの余波が収まったころ、それを乗り切った企業の経営者の共通項は、執念のある人だと思ったからです。あまり年齢も関係なかったなー。むしろ、何回も荒波を潜ってきた年取った経営者の方が、執念がありましたね。ヒルズ族なんて言われて、鍋パーティーで、合コンしていた若い人の方がもろかった?
危機の時は、ビジネスモデルとか財務危機とか一切関係なし、乗り切れるかどうかこれは、経営者の執念次第ではないでしょうか?
経営は必ず波があります。今成功している、企業でも危ない時は必ずありました。ですから、経営者は、ガマン強く執念がある人、段々実践で鍛えられますから、強くなります。
決して逃げないこと、エラそうですが、起業家は、これが一番の資質ではないか、こう思いますね。私も、前述したように、過去に一年間で従業員の半分に、辞められたことがあります。結構当時信頼していた人も辞めましたから、人間はそういうもんだな、自分しか最後は頼りにならないな、とその時つくづく実感しました。
今振り返って見ますと、やっぱり何とかなったのは私の執念かな、と思います。