[世の中は一〇年周期で変化する]

 

――時代の変化を読取れ
私の経験では、世の中は一〇年周期で、大きく変わってきました。
税務の世界に、税目というのがあります。所得税、法人税、資産税という具合に税の専門別の呼び名のことを指します。
スターとして脚光を浴びる税目が、一〇年ごとに変わってきました。
これが、経済の変化のカガミではないだろうか、と思うのです。
私の知っている最初のスター税目は、所得税でした。確か、昭和三〇年代から確定申告の制度が始まって、個人事業者の確定申告が急増した時期です。
日本の高度成長が始まって、個人事業者が急増した時期だったんですね。
次のスターは、法人税でした。個人事業者が大きくなり、猫も杓子も法人成りした時代です。高度成長第二期ともいうんでしょうか?
日本の快進撃の時代、確か昭和四〇年代です。
そして、バブル。
相続税等、税目のスターは、資産税です。何しろ、毎年路線価が、倍々ゲームで上がっていきました。
これは、昭和の終わりから、平成にかけてです。
今考えてみると、資産税が盛んということは、もう日本は成熟して、投資先が、土地とか株とかしかなかったんだな、と思います。
ジャパンアズナンバーワンの本が出たときは、日本は盛りが過ぎていたんですね。
当時浮かれていた私とて、反省しきりですが、後の祭り(笑)。
それから、失われた一〇年が始まりました。
次のスター税目は、少しマイナーになりますが、外資がからむ税務です。
ハゲタカファンドと称せられた外資のファンド、あるいは、外資の子会社にからむ、ストックオプションの税務。
ファンドが注目されたのもその時期です。SPCの税務、会計も盛んでした。
税目が、所得税、法人税で、クロスオーバーの税務です。
そして、その後の一〇年、日本の企業は大きな再編の時代に突入します。
すると、連結納税、再編税制、事業再生等、かなり専門的な法人税の税目がクローズアップされてきました。
いよいよ、企業は、本格的な生き残りをかけた戦いの始まりです。
弊社にも、その再編専門部隊があります。やはり忙しいですね。
さて、今後の一〇年です。
私見ですが、日本は完全にストック型社会が浸透します。
いわば資産の大衆化の時代、税目では、相続税です。
又、中小企業は、事業承継の問題が大きくクローズアップされました。
M&Aまで含んだ、税務が盛んになってきています。
そして、日系企業の海外進出に合わせた、国際税務、これもキモの一つです。
もう、グローバルに市場を求めないとダメな時代であると、税務からも読み取れます。
これを、ちょっとまとめてみますね。

日本経済の変化 流行の税目
日本の高度成長
第一期
第一期
製造業の時代
所得税
日本の高度成長
第二期
第二期
製造業の時代
法人税
バブル期 サービス化社会への移行 資産税
失われた10年 ファンドの時代 外貨にまつわる税務
その後の10年 生き残りの耳朶 法人税(再編税制等)
そして今後の10年 ストック型社会・
グローバル化
資産税・国際税務

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